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adult 大人の矯正

生涯自分の歯と付き合うための成人矯正 Orthodontics for adults

近年では、子供の頃には矯正治療が受けられなかったけれど、経済的に余裕ができたから歯並びを整えたいという大人の方が増えています。子供の頃に矯正治療を行うメリットは沢山ありますが、もちろん大人になってから矯正治療を行うメリットも十分に存在します。それは、上下顎骨が大きく成長しない状態だからこそ、骨に影響されることなく、計画通りに歯を動かしやすい点にあります。

また、親が矯正治療を決める小児矯正とは異なり、患者さんご自身で「歯並びを整える」と決めて治療に踏み切るからこそ、口腔の衛生管理や装置の適切な着脱ができるのが、大人が矯正治療を受ける上での利点です。
歯並びを整えると、一部の歯にかかっていた過度な力が分散され、歯周病の予防になります。さらに、歯と歯の重なり合いが無くなって歯を磨きやすくなり、虫歯を防ぎやすくなるなどのメリットも得られます。単に見た目の改善だけではなく、自分が生まれ持った歯と長く付き合っていく方法として、成人矯正をご検討いただければと思います。

CASE 症例で見る大人の矯正

そうせい 叢生 (歯並びがガタガタ)

上下顎ともにデコボコのある成人女性です。歯を排列するための隙間を獲得するために、上下顎歯列を横に拡大、奥歯の後方移動と前歯の僅かな前方移動を行いました。奥歯の後方移動の際、歯を確実に移動するために、歯科矯正用アンカースクリュー(デュアル・トップオートスクリュー)を用いました。
このように、お口の中に歯を支えている歯槽骨が十分に存在するのかを診断し、前後左右へと歯を移動させる手段があれば、たとえデコボコであっても、非抜歯で矯正治療が可能なケースがあります。歯並びの安定を確認するために、4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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じょうがくぜんとつ 上顎前突 (出っ歯)

上顎前突とデコボコのある成人女性です。歯を排列するための隙間を獲得するため、また上顎前歯を後方移動するために、上顎左右側第1小臼歯、下顎左側第2小臼歯の抜歯、下顎右側ブリッジの撤去を行いました。
上顎前突改善のため、また上顎前歯の後方移動と同時に前歯部開咬の改善のため、上顎奥歯の圧下移動(歯牙を潜らせる)をするため、歯科矯正用アンカースクリュー(デュアル・トップオートスクリュー)を用いました。歯並びの安定を確認するために、4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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かがくぜんとつ 下顎前突 (受け口)

下顎前突(下顎前歯が内側へ傾斜しているため、上下前歯は反対咬合ではありません)とデコボコのある成人女性です。歯を排列するための隙間を獲得するために、下顎左側第1小臼歯と右側第2小臼歯の抜歯を行いました。
下顎前歯を左側に移動し、上下歯牙の正中(真ん中)を一致させるため、下顎左側に歯科矯正用アンカースクリュー(デュアル・トップオートスクリュー)を用いました。歯並びの安定を確認するために4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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かがくそくほうへんい 下顎側方偏位 (上下の歯の真ん中が左右にずれている)

下顎右側偏位(下顎の右側への曲がり)とデコボコのある成人男性です。上顎骨幅径(横幅)が非常に狭いため、上下歯列の幅径が一致していません。上下顎の横幅を一致させるため、上顎は手術にて横幅を拡大しました。
また歯を排列するための隙間を獲得するために、上顎左側側切歯、右側第1小臼歯と下顎左側第1小臼歯、右側第2小臼歯の抜歯を行いました。
上顎骨の横幅を維持した状態で矯正治療を行うため、上顎骨の裏側に組織外プレート(※完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります)を使用しました。歯並びの安定を確認するために4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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かいこう 開咬 (上下の前歯で噛めない)

前歯部開咬(前歯が噛み合っていない)の中学男性です。上下顎前歯が前方に傾斜しているため前歯部が噛み込めない状態になっています。デコボコはそれほどありませんが、上下前歯の前方傾斜を改善するために、上顎両側第1小臼歯と下顎両側第2小臼歯の抜歯を行いました。歯並びの安定を確認するために4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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かがいこうごう 過蓋咬合 (上の歯が下の歯に覆い被さっている)

前歯部過蓋咬合の女性です。上顎前歯が下顎前歯を完全に覆ってしまい、見えない状態になっています。このままですと、下顎の動き(顎機能)を阻害しているため、上下顎前歯を圧下移動(歯牙を潜らせる)し、前歯の噛み合わせを浅くする必要があります。
そのためには、デコボコがありますが、非抜歯にて矯正治療を行う方が有利です。歯並びの安定を確認するために4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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かがくぜんとつ 下顎前突[手術併用]の治療 (受け口)

骨格性反対咬合の男性です。下顎骨自体が長く成長しているため、矯正単独治療では目標とする噛み合わせが得られません。外科手術を行い、下顎骨を短くして上下顎骨の不調和を改善しました。同時に矯正治療を行い、目標とする噛み合わせに治療していきます。歯並びの安定を確認するために4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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歯周矯正治療

歯周病を伴ったデコボコのある女性です。矯正治療前に先ずは、歯周病に対する初期治療を行いました。歯石を取りながら歯茎の状態を改善していきます。
今回はデコボコの改善のため、上下顎右側第1小臼歯と、歯周病による歯牙動揺の改善が認められなかった下顎左側前歯を抜歯しました。
矯正治療途中、歯周病の悪化が起こらぬよう配慮し、目標とする噛み合わせに治療しました。歯並びの安定を確認するために4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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ほてつ 補綴前の矯正治療

前歯の噛み合わせが深く、入れ歯が作れない男性です。前歯の隙間がないため、下顎前歯を圧下移動(歯牙を潜らせる)し、入れ歯を作るための隙間を獲得しました。全体的な矯正治療は行わず、将来入れ歯を作る目的で下顎だけに矯正装置を装着し、部分的な改善をしました。歯並びの安定を確認するために4ヶ月毎に来院して頂き、2年間程経過観察をしていきます。

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Overview 年齢別概要

各年代における矯正治療に対する考え方をご紹介します。

20歳代

この年代の口内環境として、一部の歯に虫歯治療が施されていたり、セラミック治療を受けている方がいらっしゃいます。歯茎はまだ健康な状態です。矯正治療においては、見た目を改善したい方が多い傾向にあります。具体的には、歯並びの乱れや出っ歯、受け口、歯茎の見え方が気になる方や、顎変形症の治療を希望されます。

30歳代

見た目の改善を希望される方もいらっしゃいますが、歯周病のリスクがまだ低い一方で、矯正治療による歯の移動が難しくなる時期であり、予期しない歯茎のトラブルが発生することがあります。顎変形症の治療については、神経の問題を考慮すると、この年代が施術の最後のタイミングになるのではないかと考えています。

40歳代

幼少期に矯正治療を受けず、その後も口元や歯並びを気にしながら過ごしてこられた方が多くいらっしゃる年代です。治療を検討する際、具体的な症状は感じていないことが多く、不安要素を挙げるとすれば、「虫歯になりやすい」「歯周病が心配」といった程度です。しかし、矯正治療のために検査を行うと、歯周病や親知らずの放置による歯槽骨の吸収が見つかり、想定以上に治療の難易度が上がるケースがあります。時間がかかるとしても、今後の歯の健康を見据え、かかりつけの歯科医と連携して矯正治療を成功させることが大切です。

50歳代

最近では、歯の健康に不安を感じて矯正相談に訪れる方が増えているようです。奥歯が割れてしまったり、歯周病の進行で歯を抜かざるを得なくなったりと、このままでは歯を失うリスクがあり、将来的に入れ歯になることを心配される方もいらっしゃいます。歯並びを整えて一般の歯科治療がしやすい環境に整えることが、今後のお口の中の健康維持にとって重要です。

60歳代

インプラントや入れ歯、ブリッジなどの一般的な歯科治療を受ける前に、噛み合わせを整えないと治療ができない可能性があるため、かかりつけの歯科医から矯正治療を提案される方が多くいらっしゃいます。人生100年時代を健康に過ごすためには、まだ約40年弱あります。今さら矯正治療という年齢ではないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん歯が動きにくかったり、歯茎に予期せぬトラブルが起こるリスクもあります。しかし、その都度対応しながら、ぜひ前向きに矯正治療に取り組んでいただきたいと思います。

年齢別症例
  • 20・30代
  • 40代
  • 50代
通院回数治療間隔は、6~8週に1度の来院をお願いしています。
治療費矯正治療後の歯科補綴、インプラントはかかりつけ歯科医院での費用負担となります。

マウスピース型矯正装置の取り扱い

当院では歯の表面にワイヤー装置を付けるラビアルブラケット矯正装置での治療をメインに行っております。一本一本の歯を丁寧に動かしていくためにブラケット矯正を活用し、どうしても矯正装置を目立たせたくないという方に対して、最後の微調整のタイミングでインビザライン(透明なマウスピース)に切り替える形です。

インビザラインとは、マウスピース矯正の中でも世界的シェアを誇る矯正システムです。複数のマウスピースを一定期間ごとに交換していくことで、少しずつ歯を動かすことができます。

親知らずの抜歯について

親知らずが生えてくる痛みがなかったり、歯茎の下に潜っていて見えないからそのまま放置したりするというのは、あまり良いことではありません。成人の方の場合でも、やはり矯正治療後は親知らずの抜歯を考える必要性があります。

なお、親知らずは30歳までには抜いてほしいというのが、現在の当院の方針です。それは、親知らずによって、第二大臼歯の後ろに大きな穴が開き、年齢が高くなるほどその穴に骨がきれいに満たされず、第二大臼歯が少し弱い歯になってしまうことが予想されるからです。痛みがないからといって抜かないのではなく、たとえ痛みがなくても第二大臼歯を守るために、親知らずは抜いたほうが良いでしょう。
一昔前までは、親知らずも何かの役に立つのではないかと考え、残しておくケースが多かったのですが、他の歯がしっかり管理されていれば、親知らずは抜歯するというのが私たちの判断です。

親知らずの抜歯について