三次元的な矯正診断
歯、顎の三次元診断とは?
患者さんの噛み合わせの状態を確認する際、頭の基準点(左右耳点、左眼下点:計3点)を設ける必要があり、その基準系から診断することが重要だと考えています。基準点がない状態では、頭に対して上下歯列がどこに位置し、どのような傾きをもって並んでいるかを診断することは難しいと考えます。そこで当院ではFastRak(三次元磁場計測器)とSetup_Manager(歯列模型三次元診断ソフト)を用いて患者さんの上下歯列の三次元位置関係を解析し診断に役立てています。
1、頭の基準点の入力
左右耳点と左眼下点の計3点を記録し、頭蓋基準平面を作製します。
2、口腔内の基準点の入力
あらかじめ作製しておいた口腔内クラッチを装着し、臼歯2点、前歯1点を記録することで口腔内基準平面を作製します。このことで頭蓋基準系における上下歯列の三次元位置関係が設定されます。
3、口腔内石膏模型を利用して全ての歯の三次元位置の入力
頭蓋基準系にて歯の乱れなどを三次元的に確認するため、口腔内基準を記録したクラッチを歯列石膏模型に装着した状態で歯を1歯づつ入力します。
4、頭基準による歯列の三次元位置解析(正面、側面、水平面)
Setup_Manager(歯列模型三次元診断ソフト)により、頭蓋基準系による上下歯列の三次元位置関係の分析を行ないます。さらに右の歯と左の歯で前後的、左右的あるいは上下的にズレがないか(左右歯列の対称性)を確認します。
5、矯正治療目標のシミュレーション(矯正治療の設計図作成)
Setup_Manager(歯列模型三次元診断ソフト)より得られた分析結果を用いて治療目標の設定を行ないます。治療前の状態(赤)と治療目標(青)を同じ頭蓋基準系にて重ね合わせることで、歯をどの方向に、何ミリ程動かすかを決定します。最終的に各種レントゲン写真から得られた分析結果も考慮し抜歯・非抜歯矯正治療の決定や、歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正(歯科)治療の決定をします。
主訴 | 出っ歯とガタガタを治したい |
診断名 | 前歯部叢生を伴う上顎前突 |
初診時年齢 | 12歳11ヶ月 |
症状 | 上顎側切歯の口蓋側転位と上顎前歯突出 |
主な矯正装置 | 上顎急速拡大、ヘッドギア、マルチブラケット矯正装置 歯科矯正用アンカースクリュー |
抜歯 | 上下顎の親知らず |
治療期間 | 3年6ヶ月 (拡大、ヘッドギアを含む初診検査から矯正治療終了時検査までの期間)(初診検査から矯正治療終了時検査までの期間) |
費用 | 98万円(税抜) |
治療上のリスク | カリエス、歯肉退縮、顎関節症、歯根吸収、失活歯、クラック、歯根の露出、歯周病治療があります。治療効果には個人差があり、あくまでご参考とお考え下さい。 |